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名古屋地方裁判所 平成8年(ワ)4307号 判決

東京都千代田区神田司町二丁目九番地

原告

大塚製薬株式会社

右代表者代表取締役

大塚明彦

右訴訟代理人弁護士

村林隆一

同 右

松本司

同 右

今中利昭

同 右

浦田和栄

同 右

辻川正人

同 右

岩坪哲

同 右

田辺保雄

同 右

深堀知子

同 右

南聡

同 右

冨田浩也

同 右

酒井紀子

名古屋市千種区内山三丁目三二番二号

被告

堀田薬品合成株式会社

右代表者代表取締役

堀田和正

右訴訟代理人弁護士

塩見渉

主文

一  被告は、原告に対し、金二万七九一五円及びこれに対する平成八年一一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は、これを一〇分し、その九を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

事実及び理由

第一  請求

一  被告は、平成一〇年一〇月二八日までの間、別紙目録(一)記載の物質を製造し、輸入し、又は使用してはならない。

二  被告は、前項記載の物質を廃棄せよ。

三  被告は、平成一〇年一〇月二八日までの間、別紙目録(一)記載の物質を有効成分とする気管支拡張剤を製造し又は販売してはならない。

四  被告は、前項記載の医薬品を廃棄せよ。

五  被告は、第三項記載の医薬品についてされた別紙目録(二)記載の医薬品製造承認について、厚生省薬務局長に対し承認整理届を提出せよ。

六  被告は、原告に対し、金八万〇二三〇円並びに内金五万五八三〇円に対する平成八年一一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による金員及び内金二万四四〇〇円に対する平成八年一二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  争いのない事実等

1  原告の特許権

原告は次の二件の特許権を有していたが、これらの特許権は、平成八年四月二八日に存続期間が経過した。

(一) 新規化学化合物の特許権(以下「甲特許権」といい、その発明を「甲発明」という。)

(1) 出願日 昭和五一年四月二八日(昭五一-四七八九二号)

(2) 優先権 一九七五年四月二九日のニュージーランド(NZ)特許出願に基づく優先権主張

(3) 公告日 昭和六〇年六月二五日(昭六〇-二六七八四号)

(4) 登録日 昭和六一年二月二八日(一三〇四〇七八号)

(5) 発明の名称 新規カルボスチリル誘導体

(6) 特許請求の範囲 別紙「甲特許権の特許請求の範囲」記載のとおり

(二) 製剤の特許権(以下「乙特許権」といい、その発明を「乙発明」という。)

(1) 出願日 昭和五一年四月二八日(昭五九-二一四〇九五号)

(2) 優先権 一九七五年四月二九日のニュージーランド(NZ)特許出願に基づく優先権主張

(3) 公告日 昭和六一年九月三日(昭六一-三九二八八号)

(4) 登録日 昭和六二年四月二二日(一三七六二一三号)

(5) 発明の名称 新規カルボスチリル誘導体を含有する気管支拡張剤

(6) 特許請求の範囲 別紙「乙特許権の特許請求の範囲」記載のとおり

2  原告は、別紙目録(一)記載の物質(以下「塩酸プロカテロール」という。)を有効成分とする気管支拡張剤(商品名「メプチン」)を製造販売している(弁論の全趣旨)。

塩酸プロカテロールは、甲発明の技術的範囲に属し、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤は、乙発明の技術的範囲に属する。

3  被告は、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤について、別紙目録(二)記載のとおり薬事法一四条所定の医薬品製造承認を受け、現に製造、販売している。

4(一)  被告が右3の製造承認申請をするためには、次の各資料が必要である。

(1) 物理的化学的性質並びに規格及び試験方法等に関する資料として、規格及び試験方法に関する資料

(2) 安定性に関する資料として加速試験に関する資料

(3) 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料として生物学的同等性に関する資料

(二)  被告は、右申請に必要な右(一)(2)及び(3)の各資料を得るための試験に使用する目的で、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過前である平成五年九月から平成六年六月までの間に、塩酸プロカテロール及びこれを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、右の各試験に使用した(以下「本件製造使用」という。)。

被告が右の期間に製造使用した塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤の量は、錠剤が三〇〇〇錠、シロップ五〇〇ミリリットルが一五検体である。

5  被告は、平成八年七月から一〇月までの間に塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤(ザネロシロップ)を製造し、少なくとも六万一〇〇〇円販売した。

二  本件は、原告が被告に対し、特許法一〇〇条及び民法一条二項に基づき、(1)平成一〇年一〇月二八日までの間、塩酸プロカテロールを製造し、輸入し、又は使用することの差止め、(2)同物質の廃棄、(3)平成一〇年一〇月二八日までの間、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し又は販売することの差止め、(4)同医薬品の廃棄及び(5)同医薬品についてされた別紙目録(二)記載の医薬品製造承認について、厚生省薬務局長に対し承認整理届を提出することを求めるとともに、不法行為による損害賠償として、八万〇二三〇円(本件製造使用による損害五万五八三〇円及び右一5の製造販売による損害二万四四〇〇円)並びに内五万五八三〇円に対する平成八年一一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金及び内二万四四〇〇円に対する平成八年一二月一九日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

三  争点

1  被告による本件製造使用は、原告の甲特許権及び乙特許権を侵害する行為であるかどうか。

2  原告は、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後においても、差止請求権を有するかどうか。

3  原告は、被告に対し、本件製造使用及び右一5の製造販売による損害の賠償を求めることができるかどうか並びにその損害額。

四  争点についての当事者の主張

1  被告による本件製造使用は、原告の甲特許権及び乙特許権を侵害する行為であるかどうか。

(一) 原告

被告による本件製造使用は、原告の甲発明及び乙発明の技術的範囲に属する物の製造、使用である上、本件製造使用は、技術の進歩を目的とするものではなく、医薬品の販売を目的とするものであるから、特許法六九条にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たらない。したがって、被告による本件製造使用は、原告の甲特許権及び乙特許権を侵害する。

(二) 被告

被告による本件製造使用は、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後に市販品を製造販売する予定の下に、右一4のとおり、製造承認申請をするためのデータを得る目的でしたものであるから、特許法六九条にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たる。したがって、被告による本件製造使用は、原告の甲特許権及び乙特許権を侵害しない。

2  原告は、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後においても、差止請求権を有するかどうか。

(一) 原告

被告は、特許法を遵守して本件製造使用を行わなかったならば、甲特許権及び乙特許権の存続期間が経過した日の翌日である平成八年四月二九日以降でなければ、塩酸プロカテロール及びこれを有効成分とする気管支拡張剤を製造して、その製造承認申請のための試験を行うことができなかった。それらの試験のうち加速試験には六か月の期間を要し、申請に対する厚生省の審査には二年を要するから、被告は、本件製造使用を行わなかったならば、平成一〇年一〇月二九日以後でなければ、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤の市販品を製造販売することができなかった。

しかるところ、被告は、甲特許権及び乙特許権を侵害する本件製造使用を行ったために、早期に、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤の市販品を製造販売することができるようになった。

このような場合には、特許権の存続期間経過後であっても、信義則上、特許権に基づく差止請求が認められるべきであり、原告は、被告に対し、特許法一〇〇条一項、民法一条二項に基づき、平成一〇年一〇月二八日までの間、塩酸プロカテロールを製造し、輸入し、又は使用すること及び塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し又は販売することについての差止請求権を有する。

また、原告は、被告に対し、特許法一〇〇条二項に基づき、塩酸プロカテロール及び塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤の廃棄並びに同医薬品についてされた医薬品製造承認について、厚生省薬務局長に対し承認整理届(医薬品の製造承認を、申請者の行為によって将来に向かって取り消す効果を有する届出)を提出することを求めることができる。

(二) 被告

甲特許権及び乙特許権は、既に存続期間が経過したから、原告が、これらに基づいて差止めを求めることはできない。

3  原告は、被告に対し、本件製造使用及び右一5の製造販売による損害の賠償を求めることができるかどうか並びにその損害額

(一) 原告

本件製造使用によって、原告は、その実施料相当額の損害を被った。被告が本件製造使用において製造使用した量は、右一4のとおりであり、平成五年当時の本件甲発明及び乙発明の実施品の薬価は、錠剤が五四円三〇銭、シロップ一ミリリットルが一五円五〇銭であり、実施料は、薬価の二〇パーセントが相当であるから、右実施料相当額は、五万五八三〇円となる。

被告の平成一〇年一〇月二八日までの間における塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤(ザネロシロップ)の製造販売は、本件製造使用があったからこそ初めて可能になったものであるので、原告は、被告に対し、右製造販売によって被った損害の賠償を求めることができる。右一5の販売行為により、被告は、少なくとも二万四四〇〇円の利益を得たが、この利益は、原告が被った損害と推定される。

(二) 被告

被告による本件製造使用は、右一4のとおり、製造承認申請をするためのデータを得る目的でしたものであるから、原告が、それによって損害を被った事実はない。したがって、原告は、被告に対し、本件製造使用による損害の賠償を求めることができない。また、仮に、右損害の賠償を求めることができるとしても、実施料率は、薬価の三パーセントが相当である。

原告には、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後には、保護されるべき権利利益は何らないから、被告に対して、右一5の販売行為により被った損害の賠償を求めることはできない。

第三  当裁判所の判断

一  争点1について

1  前記第二の一2ないし4の事実に証拠(甲六、一四)を総合すると、被告は、医薬品製造承認申請に必要な資料を得るための加速試験及び生物学的同等性試験に使用する目的で、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過前である平成五年九月から平成六年六月までの間に、塩酸プロカテロール及びこれを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、右の各試験に使用した(本件製造使用)こと、塩酸プロカテロールは甲発明の技術的範囲に属し、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤は乙発明の技術的範囲に属すること、以上の各事実が認められる。

2  そこで、右の本件製造使用が、特許法六九条にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるかどうかについて、判断する。

(一) 特許法は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とするものである(特許法一条)ところ、試験又は研究は、発明を生じさせる基礎となり、技術の進歩をもたらすものであるので、それを特許権の実施に当たるとして禁じることは、かえって技術の進歩を阻害することになり、右目的に反することになる。そこで、特許法六九条は、試験又は研究のためにする特許発明の実施には、特許権の効力が及ばないとしたものと解される。

そうすると、特許法六九条にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるというためには、当該実施行為が、技術の進歩をもたらすようなものでなければならず、そのような性質を有しない実施行為には、特許権の効力が及ぶものというべきである。

(二) 証拠(甲六、一四)によると、右1の医薬品製造承認申請に必要な資料を得るための加速試験及び生物学的同等性試験の内容は、次のようなものであることが認められる。

(1) 加速試験

一定の流通期間中の品質の安定性を短期間で推定するために実施される試験であり、最終製品を、四〇度又は貯蔵温度プラス一五度で、六か月間以上保存し、製品の品質を測定する方法で行う。

(2) 生物学的同等性試験

新医薬品として承認を与えられた医薬品と生物学的に同等であることを証明するために実施される試験で、最終製品を原則として健康人に投与して、血中濃度を測定する方法で行う。

(三) 右(二)認定の事実からすると、右加速試験及び生物学的同等性試験は、製品の品質の安定性及び既に承認を与えられた医薬品と生物学的に同等であることを明らかにするためにされるもので、それ自体としては、技術の進歩をもたらすものとは認められない。

また、その他、右の本件製造使用が、技術の進歩をもたらすものというべき事情についての主張立証はない。

(四) したがって、本件製造使用は、特許法六九条にいう「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるとは認められない。

3  よって、被告による本件製造使用は、原告の甲特許権及び乙特許権を侵害する行為であると認められる。

4  なお、本件製造使用が特許権侵害に当たるとすると、被告は、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後に塩酸プロカテロール及びそれを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、右加速試験及び生物学的同等性試験をした後に医薬品製造承認申請をしなければならないが、右認定のとおり加速試験には六か月間要するほか、証拠(甲六)と弁論の全趣旨によると、医薬品製造承認申請をしてから、承認されるまで約二年を要することが認められるから、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後も一定期間は、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができないことになる。しかし、これは、薬事法が医薬品の製造について規制を設けている結果であって、特許権の効力として製造販売が制限されるものではない(後述のとおり、原告は、被告に対し、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後は、特許権に基づき差止めを求めることはできない。)。

また、特許法六七条二項、特許法施行令一条の三第二号は、薬事法が定める医薬品の製造承認を受けることが必要であるためにその特許発明を二年以上実施することができなかった場合には、特許権の存続期間を、延長登録の出願により延長することができる旨を定めていて、薬事法による規制と特許権の存続期間について調整する規定を設けているが、特許法が調整しているのは、医薬品の製造承認を受けることが必要であるためにその特許発明を実施することができなかった場合に限られており、薬事法による規制のために特許権の存続期間経過後すぐに特許権を実施することができなかった場合について調整する規定はない上、右存続期間の延長も、特許発明を二年以上実施することができなかった場合に出願をすることによって初めて認められるのであって、薬事法による規制がある場合に常に調整を行うものではないから、薬事法による規制があることにより、右のとおり、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後も一定期間、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができない結果が生じるとしても、そのことが、特許法の右調整規定の趣旨を没却するとまでいうことはできない。

したがって、被告が、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後も一定期間、右気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができない結果が生じることが、特許法上許されないものであるとか、特許法の趣旨に反するものであるとかということはできない。

二  争点2について

前記第二の一1のとおり、甲特許権及び乙特許権の存続期間が既に経過した以上、原告が、被告に対し、これらの特許権に基づいて、差止めを求めることはできない。

右一4認定の事実によると、被告は、本件製造使用を行わなかったならば、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後も一定期間は、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができなかったものと認められるが、特許権に存続期間が設けられている以上、特許権は、その期間内においてのみ効力を有することは明らかであって、右事実は、特許権の効力を存続期間経過後も認めることの根拠となり得るものではない。

三  争点3について

1  本件製造使用によって、原告は、その実施料相当額の損害を被ったものと認められる。

被告が本件製造使用において製造使用した量は、前記第二の一4のとおりであり、平成五年当時の本件甲発明及び乙発明の実施品の薬価は、錠剤が五四円三〇銭、シロップ一ミリリットルが一五円五〇銭であったことは、当事者間に争いがない。

また、証拠(甲一三)によると、医薬品については、契約による実施料率が一〇パーセントを超える高額な実施料の支払事例が存すること、右一4認定の事実に弁論の全趣旨を総合すると、被告は、本件製造使用を行ったために、行わなかった場合に比べて早く、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができるようになったものと認められることを考慮すると、実施料は、右製造使用量に薬価を乗じたものの一〇パーセントが相当であると認められる。

したがって、右実施料相当額は、二万七九一五円となる。

2  右のとおり、被告は、本件製造使用を行ったために、行わなかった場合に比べて早く、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後に、塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造し、市場において販売することができるようになったものと認められる。

しかし、存続期間経過後に塩酸プロカテロールを有効成分とする気管支拡張剤を製造、販売することは、特許法の禁じるところではなく、被告が本件製造使用を行わなかった場合に、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後一定期間、右気管支拡張剤を製造して市場において販売することができないのは、薬事法の規制が存するためであるから、被告が、本件製造使用を行ったために、行わなかった場合に比べて早く、甲特許権及び乙特許権の存続期間経過後に、右気管支拡張剤を製造して、市場において販売することができ、その結果、原告が損害を被ったとしても、その損害について、原告が、特許法によって保護されている利益を侵害されたとして、被告に対して、損害賠償を求めることはできないものというべきである。

第四  総括

以上の次第で、本件請求は、不法行為による損害賠償として、損害金二万七九一五円及びこれに対する平成八年一一月二〇日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるので、認容し、その余の請求は、理由がないので、いずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき、民事訴訟法八九条、九二条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野田武明 裁判官 森義之 裁判官 鈴木和典)

別紙

甲特許権の特許請求の範囲

1 一般式

(1)

〈省略〉

(式中、R1、R4及びR5はそれぞれ水素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、R4及びR5のうちの少なくとも一つは水素原子であり、R2及びR3は同一であつても異つていてもよく、水素原子、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル部分中に1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖水素原子を含むフエニル低級アルキル基を表わし、式

〈省略〉

で表わされるカルボスチリル骨格は式

〈省略〉又は〈省略〉

を表わす)

で表わされる新規5-(1-ヒドロキシ-2-置換アミノ)-アルキル-8-置換カルボスチリル又は-3、4-ジヒドロカルボスチリル誘導体またはその薬剤的に使用できる酸付加塩。

2 R4およびR5がともに水素原子を表わし、R2が水素原子そしてR3が1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表わす特許請求の範囲第1項に記載の化合物。

3 化合物が5-〔(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノ)ブチル〕-8-ヒドロキシカルボスチリルまたはその薬剤的に使用できる酸付加塩。

4 化合物が5-〔(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノ)ブチル〕-8-ヒドロキシカルボスチリル塩酸塩である特許請求の範囲第3項に記載の化合物。

5 化合物が5-〔(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノ)ブチル〕-8-ヒドロキシカルボスチリル塩酸塩1水和物である特許請求の範囲第3項に記載の化合物。

別紙

乙特許権の特許請求の範囲

1 一般式

(1)

〈省略〉

(式中、R1、R4及びR5はそれぞれ水素原子、又は1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、R4及びR5のうちの少くとも一つは水素原子であり、R2及びR3は同一であつても異なつていてもよく、水素原子、1~4個の炭素原子を有するアルキル基、アルキル部分中に1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を含むフエニルアルキル基を表わし、式

〈省略〉

で表わされるカルボスチリル骨格は式

〈省略〉又は〈省略〉

を表わす)

で表わされる5-(1-ヒドロキシ-2-置換アミノ)-アルキル-8-置換カルボスチリル又は-3、4-ジヒドロカルボスチリル誘導体又はそれらの薬剤的に使用できる酸付加塩の少くとも1種類を活性成分として含有することを特徴とする気管拡張剤。

別紙

目録 (一)

左記式

〈省略〉

で表される5-〔(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノ)ブチル〕-8-ヒドロキシカルボスチリル塩酸塩1/2水和物(一般名 「塩酸プロカテロール」)

別紙

目録 (二)

販売名 承認年月日

ザネロシロップ 平成8年3月15日

ザネロ錠 同

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